リタイヤ世代の夫の家事問題|桃栗3年洗濯10年
「夫の世話を卒業します」
たまたま手にした雑誌の記事のタイトル。
60歳代以降の女性がターゲットであろうその雑誌。
健康、お金、夫や息子娘などの人間関係等、老後の輝き方を示唆する記事が満載。
40歳代の私は初めて手にする雑誌だが、自身の行く末を知るうえでとても興味深い内容だった。
ここ北海道十勝では、
4月から5月の連休過ぎ頃にかけて、冬タイヤから夏タイヤに交換する人が多い。
我が家の場合、連休中に季節外れの雪が降る年もあるので、毎年連休明けにタイヤ交換をする。
タイヤ交換で感じる北国の春。
昨日タイヤ交換をしてもらうために自動車整備工場へ行ったら、その雑誌が置いてあった。
春と言えば「卒業」なのかもしれないが、なかなかパンチの効いたこのタイトル。
冬タイヤは卒業したが、まだ夫を卒業するには時期尚早(笑)
好奇心が爆発寸前のこのタイトルの記事を、一気にむさぼり読む。
記事の内容は、夫婦間の家事問題についてだった。
夫たちよ、これからは家庭進出だ!
リタイヤ生活にはいった夫へ、妻がモノ申した3つの事例を紹介していた。
今まで、仕事、仕事で、仕事が忙しく、男は強くあれの風潮のなかで生きてきた世代の夫たち。
それが今や、趣味だ、旅行だ、女子会だと妻の方が忙しく、男女平等が叫ばれる世間の狭間で繰り広げられる夫と妻の攻防劇。
一筋縄ではいかぬのだ。
まさに両親がその雑誌の世代。
記事を読みながら、父と母の攻防劇を思い出した。
父が退職して数年後のこと、
洗濯機の前で小競り合いをする父と母。
なぜ、こんなところで小競り合い?
不思議がる当時実家暮らしの独身の私をよそに、小競り合いはヒートアップ。
「これからは自分のモノは自分で洗濯しなさい!」
それまで、ほとんど洗濯機を使ったことがない父。
母が父に洗濯機の使い方を教えているところだった。
そしてその翌日、
洗濯機の前で小競り合いをする父と母。
デジャブのようなこの光景は、10年ほど続いた。
「もういいんじゃない?(父が)洗濯しなくても。」
ある日、見かねた私に母はこう言った。
「これからの時代は、男も女も関係ない。
仕事も、家のことをするのも、生きていくのに必要なんだよ。
せめてお父さんには、洗濯だけは自分でできるようにしてあげたい。
仕事だけしかできないお父さんなら、これから娘にとっては厄介者でしかないんだから。」
父は洗濯機の使い方を覚えられなかったわけではない。
日常的な洗濯方法なら、たぶん2回くらいで覚えたように思える。
それなのに、なぜ10年も洗濯機の前で小競り合いをしていたのか?
今にして思えば、
父は母とではなく、父自身の固定観念と小競り合いをしていたのかもしれない。
今までと、そしてこれからの。
「夫の世話を卒業します」
これは妻から夫への愛のメッセージでもあるのだろう。