嫁は義理の父母を介護する絶対義務はあるのか?|民法877条
「義務はナシ」
日本の法律に則ると、このような回答になる。
民法877条1項
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
条文から、このように解釈される。
親の扶養義務は、直系血族である子や孫などにある。
子供たち兄弟姉妹間で平等に扶養義務があり、血のつながりがない嫁は扶養義務がない。
しかし、どうだろう?
兄弟姉妹間で親の扶養義務を押し付け合ったり、その嫁に義務を転嫁するケースは数多ある。

ある時、夫・X氏が高熱を出した。
休日で、しかも夕方。
こんなときに診察して下さる病院はどこだ?
高熱でうなだれる夫・X氏は可哀そうだが、
なんて厄介な時に熱を出すんだと心の中で毒づいた。
典型的な地図が読めない女の私。
ここで暮らして3年が経ち、何となく土地勘がついてきた矢先のできごと。
当番病院が見つかり、大急ぎで病院へ連れていく。
その時の当番病院は、某こどもクリニック。
子供のいない私たち夫婦は、子供関連のことには疎いのだが、
日頃、こまめに地域の情報を収集していた甲斐があった。
「もし、私が高熱だしていたら、病院に連れていけた?」
ある時、元気になった夫・X氏にこう聞いてみた。
「きっと、ムリだったと思う。」
意外に素直な返答に、こちらが面食らった。
夫・X氏は根っからの地元民だが、この土地のことはあまり知らなかった。
社会人としてはデキる男でも、生活者としてはデキない男と自ら悟ったようだ。
それからは、仕事以外の暮しの知恵にも興味を示すようになった。
長男長女のカップルである私たち夫婦。
二人とも長子特有のヘンな責任感が強いところが似ている。
そして、家族思いなところも。
夫・X氏は長男であるが故、両親のことをとても気にかけている。
それは、私も同じ。
もしいつの日か、義理の父母を介護する日が来るかもしれない。
その義務は、長男の嫁である私だけなの?
そうしたら、私の父母の介護は誰がするの?
不条理な理屈で私の親孝行を邪魔することは、誰にもできない。


