夫婦の問題と個人の問題 課題の分離|不機嫌そうに見えるけど不機嫌ではない
このところ、心ココにあらずの夫・X氏。
何かに気がかりなことがあるようだ。
いつもいつもそればかり考えている。
会話をしていても、テレビを見ていても、夕ご飯を食べていても、・・・
だ、誰か、気になる人が居るの?
もしや、不倫!?
たぶん、ソレはない。
そう信じよう。
「いろいろあって。」ぽつりと夫・X氏。
お仕事で難しい局面にあるのかもしれない。
守秘義務があるので、詳しいことはお互いに話もしないし聞きもしない。
目の前の壁を越えようとしている。
彼の姿が、私にはそう見える。
だから心ココにあらずとも、彼が不倫していると疑念は湧かない。
彼が不機嫌そうに見えるときも、私はまるっきり気にしない。

日本男児たるものむやみに喜怒哀楽を出してはならぬがDNAに織り込まれている世代の夫・X氏。
子供のころ実家で飼っていた犬のほうが表現力豊かだったと思う。彼よりも。
同じオスなのに。
「この人、何考えているんだろう?」
お付き合いしているとき、新婚のとき、ときどきそう思うことがあった。
当時、ポーカーフェイスであまりおしゃべりではなかった彼。
表情を見ても、言葉を聞いても、彼がどのように思っているのか窺い知ることができなかった。
「もしかしたら、何か気に障ることをしたのかもしれない。」
ポーカーフェイスが、よりいっそう表情が固定されたとき。
あまりおしゃべりではないのに、よりいっそう言葉数が少なくなったとき。
彼が不機嫌そうに見えるとき、私が何かしでかしてしまったのかと気になった。
「そんなことないよ。」と彼は言うけど、やっぱり気になる。
不機嫌そうな理由は、私のせいかも。
自分を責める妄想が、頭の中をぐるぐるしていた。
あるとき、わかった。
私のせいではないと。
彼が不機嫌そうであろうとなかろうと、それは私の問題じゃない。
彼がどのように考え、感じ、思っても、それは彼自身のこと。
他人である私が、彼の心や頭の中に入り込んで操作することはできない。
不機嫌から楽しく感じてもらいたくても、他人の感情に直接介入できない。
そして、人生にも。
この事を知り、気が晴れた。
そして、時を重ねてお互いがだんだん分かってきた。
「不機嫌そうに見えるけど、不機嫌ではない」
よりいっそう表情が固定されたとき。
よりいっそう言葉数が少なくなったとき。
このようなときは、彼の頭はフル回転。
熟考や作業していると、彼は周りが見えなくなるタイプ。
良く言えば、ハンパない集中力の持ち主。
不機嫌そうに見える彼の隣で、ゲラゲラ笑う私。
リビングで熟考中の彼とお笑い番組を見ている私。
お仕事のことをあれこれ考えている彼をしり目に、このネタ面白すぎて大爆笑。
彼は彼。私は私。そして、彼と私。
個人それぞれの課題と夫婦の課題。
これらをやり過ごして夫婦の時は刻まれる。


